「これ、まだ使えるかもしれない」「いつか使うかも」
そう思って引き出しや押し入れの奥にしまい込んだ物たち。
気づけば収納はパンパン
使いたい物がすぐに見つからず
探し物に時間がかかる毎日。
それでも捨てるのは、なんだか「もったいない」気がして手放せない——
そんな経験、どなたにもあるのではないでしょうか。
こんな仕事をしている私も
毎日「小さなもったいない~」の連続
潔くないと自分でも思います。
けれど、この「もったいない」という言葉。
その背景を知ると、少し変わってくるかもしれません。
きっと気持ちが楽になると思いますので
ぜひ読んでください。
「もったいない」の本当の意味を知る
仏教由来の深い精神
先日、私の大好きな先生のあるセミナーに参加しました。
恥ずかしながら、そこで初めて知りました。
「もったいない」の語源を!!!
「もったいない」という言葉は、
もともと仏教に由来する日本語です。
「勿体(もったい)」+「無い(ない)」
「勿体(もったい)」とは、その物が持っている本質を指す言葉。
それが損なわれたり、活かされないことを
「勿体ない」と表現しています。
つまり「もったいない」とは、
本来は「捨てるのが惜しい」という意味ではなく、
物の本質や役割が果たされずに終わってしまうことが惜しいという、
価値を尊ぶ心から生まれた言葉なのです。
使われない物こそ「もったいない」
こうして考えてみると、
家の中で長く使われないまま眠っている物たちは
本来の役目を果たせずにいる状態です。
私達人間って欲があるので
「高かった~」と思うと使わないのに捨てられないですよね!
でも、どんなに高価な物であっても、
使われないまましまい込まれているなら、
それは本当の意味で「もったいない」。
先日、NHKの番組で
大切な器は奥にしまっていて、日常は100円ショップの食器を使っている
そんな人が収納の悩みを語っていました。
収納以前に、これってどうですか?
これこそ究極の「もったいない」ではないですか。
大切な器も使ってこそ価値がでる
大切なのは、「物をためこむ」のではなく、「物を活かす」こと。
収納の事を考える時、この視点を持つだけで
物との関係がなんとなく変わっていきます。
「高かったモノ」の認識が
もったいないの意味を知ることで
「大切に使おう」「誰かに大切に使ってもらおう」
もっと進化して「使い尽くそう!」
に変われるといいですね。
収納とは「活かす」ための場所
「しまう」よりも「使いやすくする」
私の収納の師匠の飯田久恵先生から
「収納とはモノの出し入れを楽にすること」
と教え込まれました。
そうなのです。
収納を「見えないようにしまい込む」ことが目的にしていませんか?
けれど本当は、日々の暮らしでスムーズに使えるように整えることこそが、
収納の本質です。
引き出しを開けたときに、必要な物がすぐに手に取れる。
棚に置かれた物たちが、ちゃんと“使われている”。
そんな収納こそ、物が生き生きと役割を果たしている状態です。
見直すだけで、心も軽くなる
ぎゅうぎゅうに詰まった収納は、
私たちの心にも「余白のなさ」を映し出します。
逆に、必要な物だけが整って収まっていると、
不思議と心にも風が通るような感覚があります。
収納を「モノの出し入れを楽にする!」という視点で見直すことは、 ただの片づけではなく、
暮らしの価値観や自分の今を見つめ直す行為でもあるのです。
世界に広がる「MOTTAINAI」の精神
環境思想として注目された「もったいない」
「もったいない」は今や、日本だけの価値観ではありません。
2005年、ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境活動家、
ワンガリ・マータイさんがこの言葉に感銘を受け、
「MOTTAINAI」という概念を世界に広めました。
マータイさんは、「もったいない」という言葉に、
環境保護の本質が詰まっていると感じたそうです。
Reduce、Reuse、Recycle+Respect
「MOTTAINAI」は、「Reduce(減らす)」「Reuse(再利用)」「Recycle(再資源化)」に、もう一つ、「Respect(敬意)」という視点を加えた環境理念として知られています。
物を無駄にしないこと。
自然に敬意を持つこと。
人や社会にも思いやりを向けること。
こうした精神は、まさに「もったいない」の心そのもの。
日々の暮らしの中で、
身近な物を丁寧に扱うことが、地球や未来につながっているのだと思うと、
行動も少しずつ変わっていきます。
「もったいない」視点で暮らしを整える
今の自分に本当に必要な物を選ぶ
収納を見直すとき大切なのは
「今の自分にとって必要かどうか」という視点です。
過去の自分が選んだ物も、今の暮らしに合わなければ無理に残す必要はありません。 使わない物を手放すことは、
その物の価値を否定することではなく、
必要とされる場所へ送り出すという、もうひとつの「もったいない」への向き合い方なのだと思います。
小さな選択が、心地よい暮らしに
たとえば、
- ・同じ用途の物がいくつもあるなら、使いやすい1つだけを選ぶ
- ・定位置を決めて、出し入れしやすい仕組みに整える
- ・何がどこにあるか、自分で把握できる量を保つ
そんな小さな選択の積み重ねが、
心地よく、無理のない収納を育てていきます。
判断は買う前に
一旦手にすると、手放すのは辛いものです。
特に、「モノを大切にしたい」と思う人ほど辛いのです。
小さなモノを買う時も、「モノの命を引き受ける」
そんな覚悟があると
本当の“もったいない”がなくなるのでしょう!
ヨーロッパ人は小さなモノを買う時も
「何度もお店に通って選ぶ」と何かで読みました。
選ぶことに喜びを感じているのかもしれないですね。
そして、気に入ったモノを使うことで、自分の価値も少し上げられるかも。
想像してください!
100円ショップの食器で食事をしている自分と
素敵なお店で買った“お気に入り”で食事をしている自分
それが毎日続くとしたら・・・
モノの命を活かす暮らしへ
モノの役割をまっとうさせる
「もったいない」は、物へのやさしさと敬意に満ちた言葉です。
でも、それは「なんでも取っておく」という意味ではありません。
本当に大切なのは、物が役割を果たせるように、
ちゃんと使ってあげること。
収納を整えると、
・自分のモノを細部まで把握できる
・モノをすぐに使える状態にできる
「モノに役割をまっとうさせてくれる」手段なのですね。









