彼って綺麗好き?

先日、アメリカのドラマを観ていたときのこと。
登場人物の女性が、付き合おうか迷っている男性の友人に


真剣な顔でこう聞いていました。
「彼、綺麗好き?」
その何気ない一言!


彼女は付き合う相手が「綺麗好き」なのかを
重要視しているんだ~


それって
「この人と一緒に暮らして快適かどうか」を
測っている会話ですよね。


ちょっとドキッとさせられた一言でした。

ドラマから見えたこと

「片づけ」は性格ではなく、生活力

ドラマって、登場人物の考え方や行動、価値観を
自分と比べることができます。

私は仕事柄、ドラマの中の部屋の様子がとっても気になります。
朝ドラ、大河ドラマでは部屋を注目したり
ニュースの大学や研究所の先生インタビュー時には
背景の本棚が整っているかが気になって仕方がない(笑)


話を元に戻すと
アメリカでは、「綺麗好きかどうか」が

  • ・一緒に暮らせる人かどうか
  • ・他人に配慮できるか
  • ・自立しているか

といった、“人間性”を測る要素として大切にされているように思ったのです。


同棲する前に「片づけができるかどうか」を確認するのは、
生活全般に対する価値観を共有する意味でも大事なこと。


アメリカのドラマでは、恋愛関係を深めていく中で、
「一緒に過ごす空間が快適であるかどうか」
がかなり重要視されていることが多いです。
例えば

・食器の洗い方
・いろいろなモノが出しっぱなし
日本では日常会話ではありますが、
ドラマでは出てこない気がします。


でも、アメリカのドラマではよく出てくるように思います。
トイレットペーパーの向きを気にしていた主人公の男性もいました。

暮らしの中の“共同スペース意識”

アメリカではルームシェアや同棲、一人暮らしが一般的。
「大人になっての親と同居はよい印象を持たれない」
と何かで読んだことがあります。


だからこそ、自分だけでなく「他人と暮らす」という意識が強く、
片づけや生活の整え方が問われるのだと感じました。


それが「綺麗好き」という言葉の背後にある
深い価値観なのですね。

生活を共にする上での「快適さ」

生活の快適さは、物理的なスペースの広さだけで決まるものではありません。
周りの人と共に過ごす空間の居心地の良さが、
その快適さには大きく関わってきます。


ドラマの登場人物が「綺麗好きかどうか」を気にするのも、
生活空間を共有する上での“心地よさ”を重視しているからなのでしょう。


物の管理ができるかどうか、
生活がきちんとしているかどうかは、
実は人間関係にも大きな影響を与えるのです。

日本の場合は?

綺麗好きな男性=神経質?

これは少し古い感覚でしょうか?
でも、少し前まで「綺麗好きな男性」に対して
「細かそう」「神経質っぽい」なんて印象を持つ人も多かった気がします。

日本の文化では、長い間「家事や片づけは女性がするもの」として、
男性が積極的に片づけに関わることは
あまり期待されてこなかったかもしれません。


それが、男性に対する「綺麗好き=神経質」
という偏見を生んできた要因のひとつだと感じます。

暮らしの前提が変われば、求められる力も変わる

今は、共働きも当たり前になり、誰もが忙しい時代。
そんな中で、片づけを“誰かがやってくれるもの”と考えていたら、
暮らしは回りません。


共働きが増える中で、
男性も家事を分担することが当たり前になってきています。
それと同時に、片づけや掃除のスキルが、
性別に関係なく必要なものとして認識されるようになりました。


私は、収納の仕事を長くやっていて
ご夫婦の「片づけ価値観」の違いで日々のモヤモヤが募る
という現場を見てきました。
日本でも相手を選ぶ基準の1つとして大事なのかと感じました。


「女性だから、男性だから」といって
片づけや掃除を担当する人を決める時代ではありません。
員が自分の暮らしを整える責任を持つ時代になったのです。


これからの片づけ教育

男の子にも「整える力」を育てたい

だからこそ、これからの時代は、
男の子にも自然に片づけを教えていく視点が必要だと思います。


「男の子だから部屋が汚くても仕方ない」ではなく、
「自分で整える力を身につけていこうね」
という声かけに変えていくこと。


子ども時代に生活の整理整頓を学ぶことで、
大人になってからも自分の生活を管理する力が養われます。


片づけができる人は、社会に出てからも、
組織やグループでの生活や仕事の管理が得意であることが多いです。


その上で、親の大切な役割は
子どもの空間の「散らからない仕組み」を作っていくことです。
片づけは決して精神論ではありません。


まずは片づける場所“モノのお家”を作ってあげることが大切です。
家がない人に「家に帰りなさい」とは言えないですよね!


仕組みを作ったら、「出しっぱなしにしないで!」と言えるのです。

家庭だけでなく、学校でも

理想を言えば、片づけや暮らしの力は学校でも教えてほしいと思います。
たとえば、小学校の時から、

・自分のロッカーや机をきれいに保つ
・使ったものを戻す習慣を身につける
・他人と空間を共有するマナーを知る

こうしたことは、社会に出てもきっと役立ちます。
何より、自分の暮らしに自信を持てることが、

子どもたちの成長に大きく貢献すると思うのです。

綺麗好きは“当たり前”に

暮らしの価値観は、少しずつ変わっていく

綺麗好きな男性が「珍しい」と言われる時代は、
もう終わりかけているのかもしれません。


これからは、
誰もが自分の暮らしを整えられる人であることが“当たり前”の時代
になっていくのではないでしょうか。


私たちが見ているものは、テレビの中の価値観や文化だけでなく、
実際に日々の暮らしの中で取り入れていける価値観です。


みんなが自分の暮らしを整えることが、
心地よい生活への第一歩とされる時代に変わってきています。

おわりに

ドラマがくれた小さな気づき

ドラマの一言から、「暮らし」や「価値観」について
あらためて考えるきっかけをもらいました。


日本でも、片づけのとらえ方が少しずつ変わっている気がしています。
そしてそれは、とてもいい変化だと思っています。


「片づけ」の価値観が変わることで、
暮らし方そのものがより豊かにより快適になっていくと感じます。

About Mina Yoshida

収納カウンセラー・一級建築士YoshidaMina
20年間で個人住宅の収納カウンセリング、新築・リフォーム収納コンサルティングを延べ1,000人以上、延べ300人を対象に「収納セミナー」を行っている。整理収納で頭と空間のスッキリを叶え、家事の時間を2/3に短縮できる家をお客様といっしょに作り上げる。その中でも新築・リフォーム時の収納設計コンサルティングを得意する。大学で住居学を学び、卒業後ハウスメーカー、設計事務所で住宅・マンション設計に携る。その後、夫の海外赴任に帯同する。海外生活では友人宅を訪問する機会が多く様々な暮らしを見る経験をする。

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