「捨てる」はなぜ辛い?

「捨てる」はなぜ辛い

「捨てる」ことは不安との戦いである!

これはアートディレクターでユニクロや今治タオルのロゴを作った佐藤可士和さんの言葉です。

ダイエットって似ていませんか?

  

身体の不要な部分を「捨てる」ことですよね!

私の収納の師匠の飯田久恵氏はよく言っています。

モノを捨てるのはダイエットよりはずっと楽ですよ!

確かに、ダイエットの辛さよりはましかもしれません。

  

2つの根本は同じなのですね。

人間って飢餓時代が長かったので、

少しでも貯められるモノがあると将来の不安に備えて手放したくないのです。

何が起こるかわからないという気持ちから、

モノがたくさんあると安心できるのですね。

  

これが人間の根っこにあると開き直れば、気持ちが楽になりませんか?

だって「捨てられない」って当りまえの感情なのですから。

「捨てる」ことは「とりあえず」との戦いである!

これも佐藤可士和さんの言葉。

「とりあえず」決定から逃げる!

  

いわゆる「先送り」。

気持ちはめちゃくちゃよく理解できます。

  

「捨てる」って頭を使うのですね。

「〇〇の時に使う」

「〇〇に使えるかも」

「〇〇に差し上げるといいかも~」

などなどたくさん考えます。

  

そして、「捨てる」行為そのものも分別もあるし面倒なのです。

他人に差し上げる場合はもっと大変。

「差し上げて失礼じゃないかな?」

「きれいな状態にしなきゃ!」

どんどんハードルがあがります。

  

どうですか?

「捨てます!」と簡単に宣言するけど、

実行するのが難しい理由がわかっていただけたと思います。

「捨てる」とよいことがある

私が収納を始めたきっかけ

実は、私が収納を始めたきっかけは

「モノが少ないって楽!そして気持ちいい~」

と実感したことからでした。

  

1997年から4年間パキスタンという国に夫の仕事の関係で住んでいました。

なかなか珍しい場所で、他では経験できないようなことを楽しんでいました。

  

でも、買い物事情が最悪でした。

醤油も味噌、売っていない、お肉も日常的に食べられるのは鶏肉だけでした。

業務用の冷凍庫が家に3台、普通の小さ目の冷蔵庫が3台ありました。

その他、衣類、化粧品、薬、日用品のストックも膨大でした。

  

料理、掃除、洗濯などはやってくれる人がいましたし、

家は広大でストック品を置く場所は十分にありましたが、

大量の在庫管理に嫌気がしてました。

  

日本へ帰国する時に、それらは後任や友達へ譲りました。

海から遠い場所だったからか、引越しは飛行機便のみでしたので、

「とりあえず持って帰ろう!」ができず必要最小限のモノしか持って帰って来ませんでした。

  

息子が1歳で手がかかる時でしたが、日本での生活はとても楽でした。

「モノが少ないって楽~!そして気持ちもすっきり!

と気づきました。

  

その時代はまだ「捨てる」という概念は一般的ではありませんでした。

偶然見つけた、私の収納の師匠である飯田久恵先生の著書「捨てる!快適生活」を読み

私は衝撃を受けました。

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だって、他人に「捨てなさい!」と言えると知らなかったので。

  

私は学生時代に住居学を学び、卒業後はハウスメーカー、設計事務所で住宅やマンションの設計をしていました。

建築の仕事は時間拘束が長く、1歳の子どもがいる私には無理と諦めていました。

  

でも、住居に関わる仕事はしたいと思っていました。

そんな時に収納という仕事を知ったので、

「仕事をさせてください!」と連絡をとり、させていただくことになりました。

面白くて、23年間続いています。

捨てる≒解毒?

私が収納の仕事を始めた2001年頃は

収納セミナーで「捨てるが得!」と

皆さんにお伝えしていました。

  

今は「断捨離」という言葉が日常で使われています。

もやは「断捨る」と動詞にもなっています。

  

実はこの言葉、もともとヨガの行法哲学の用語をやましたひでこさんが日常におとしこんだもの。

●断行:入ってくるものや欲望、不要な習慣などを断つ

●捨行:不要なものや自分の地位などを捨てる

●離行:執着やこだわりなどから離れる

まさに修行から出てきた言葉です。

  

修行って大変ですが、もう少し気楽に

「捨てる=解毒」くらいに考えると気持ちは楽ではないですか?

捨てると確実にすっきりします。

  

先日、私は計量カップを2つ捨てました。

これだけで私の中ではスッキリ感があったのです。

  

しかも、スッキリ感は1日くらい続きました。

感覚的にはちょっとした解毒!

だから、スッキリするのだと。

  

身体も解毒すると体調よくなりスッキリします。

同じなのかもしれないです。

「捨てる」が苦手な人は目標を明確に

「捨てる」理由

「捨てるの苦手」というお声はよく聞きます。

ある企業の「断捨離をしたことがありますか?」というアンケートに

90%くらいの方がYESと回答しています。

  

でも、成功してる方は少ないようです。

想いと行動は一致しないものです。

  

そもそも「何故すてるのか?」

  

私は収納の師匠から

「収納の目的は?」

これをたたきこまれました。

  

収納の目的は

「出し入れを楽にすること!」

  

「出し入れを楽にする」とは

何かを取り出す時に手前や上のモノを移動させる必要がない!

  

駐車場で考えるとわかりやすいです。

駐車場は車の前に車が停まっているということはありません。

何も障害がありません。

  

これを食器棚で当てはめると

例えば、使いたい食器を取ろうと思った時に、上や手前に他の食器があるとすると

それを移動しなければいけないです。

上や手前にある食器を移動すると、必要な食器を取り出した後にまた戻さなければいけません。それって時間がかかりませんか?

でも、取る時は「取りたい!」と思っているから、あまり面倒と感じないのですが、

仕舞う時はどうですか?

すっごく面倒に感じると思います。

写真を見てください。

全ての食器が手前の食器を移動しなくて取れるようになっています。

どこまで捨てればいいの?

意外と捨てなくてもいい場合もあるのです。

先ほどの食器棚の写真は見てもわかるように

決して食器が少ないわけではないのです。

  

「食器の数ではなく、出し入れが簡単にできるか!」

そこが重要なのです。

修行目的で捨てる場合は「捨てる!」にフォーカスすればいいと思いますが

そうでない場合は、手あたり次第に捨てると挫折してしまいます。

そういうケースをたくさん見てきました。

収納は「捨てる」だけが解決策ではない

収納スペースを増やす

例えば、ある土地があってそこへたくさんの人が住む必要があったとします。

どうしますか?

一戸建てだと10件しか建てられない。

でも、マンションだと10×階数の家が作れる

  

モノも同じです。

同じ面積で効率よく収納できる方法があります。

そして、その方法はとっても有効的です。

  

私は23年間、収納カウンセリングを通じて多くの方のサポートをしてきましたが、

「捨てる」だけで解決した方はほとんどいらっしゃらない。

  

モノが多いのではなく、いい収納がない方が本当に多いです。

収納が下手と思っておられた方も、いい収納を作ると不思議なくらい散らからなくなります。

「捨てる」は大事だけど、そこをフォーカスすると、ゴールまでたどり着けないかも。

気軽に最初の一歩を踏み出す

とは言っても初めの一歩は「捨てる」です。

でも、「捨てるは意外と難しい!」前提を持って自分を責めないで気軽に始めてください。

  

捨てられないと思い込んでいる方も結構いらっしゃいます。

そして、よく考えてください

「〇〇欲しい!」

「〇〇したい!」

これって生きるエネルギーになっていませんか?

悪いことではないのです。

  

自分の身を削ってまで捨てる必要はありませんが、

必ず

・要らないモノ

・どうして捨ててないんだろう

というモノがあります。

   

今日、最初の一歩目を踏み出してみませんか?

たった5分間で何かを捨ててください!

About Mina Yoshida

収納カウンセラー・一級建築士YoshidaMina
20年間で個人住宅の収納カウンセリング、新築・リフォーム収納コンサルティングを延べ1,000人以上、延べ300人を対象に「収納セミナー」を行っている。整理収納で頭と空間のスッキリを叶え、家事の時間を2/3に短縮できる家をお客様といっしょに作り上げる。その中でも新築・リフォーム時の収納設計コンサルティングを得意する。大学で住居学を学び、卒業後ハウスメーカー、設計事務所で住宅・マンション設計に携る。その後、夫の海外赴任に帯同する。海外生活では友人宅を訪問する機会が多く様々な暮らしを見る経験をする。

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